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子育て迷宮日記 子育ては迷うもの。レベルアップに向けて修行なう。

ヒラリーさん

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10歳と6歳の息子を育てています。時短勤務のワーキングマザーです。全力で迷走するリアルな胸のうちをつづります。ちなみに魔女ではありません。

2017年3月 1日

保育所生活3年目の生活発表会 ~迷宮レベル14~

3学期の一大イベントといえば、生活発表会。
子どもたちは一年間の集大成を保護者の前で発表することになります。
息子の通っている保育所では、楽器は演奏せず劇遊びを発表します。

息子のクラスの演劇は『桃太郎』でした。
普段の保育の中で絵本からはじまり、音楽に合わせてスキップや寝転んだりリトミック遊びも取り入れられ3学期が始まってから生活発表会のための準備が着々と進んでいるようです。
今年で保育所生活が3年目になりますが、1歳児の頃のはじめての生活発表会では幕から出てきたところで、客席にいるわたしを見つけると、ロックミュージシャンが客席にダイブするかのように「ママ~!!!」と両手を広げて息子が降ってきました。

illust_1703_01.gifそしてそのまま同じクラスの子が劇をする姿をわたしの膝の上で一緒にみるという不思議な光景。なんのために休みを取って見に来たのかとがっくりきました。
こういう普段と違った雰囲気にめっぽう弱く、大声で泣き叫び先生に抱えられているのが大抵息子です。
2歳児の頃は1歳児の頃の教訓を活かして、息子に見つからないように客席の一番後ろから隠れるように見ました。幕から出てきた息子は、わたしの姿を必死で探していましたが遠くにいることがわかると、諦めたようでそのままステージ上で棒立ち。泣かずにいたものの、結局何もしないまま歌も歌わず終わりました。ステージに居続けたことだけでも成長したのかな...なんてかなりハードルを下げて息子の成長を見守りました。

illust_1703_02.gif3歳児の今年はどうなることやら、期待はほとんどなく次は逃走でもするのかしら、と息子の行く末を案じました。
すると1月の中頃、息子の話し方が少しずつ変わってきました。
いわゆる『吃音』です。「ま~、ま、ま、ママ!お~、お、お、おなかすいた!」と、一言目がなかなか出にくいようです。「お話しするのはゆっくりでもいいんだよ。ちゃんと聞いているからね。」とだけ伝えました。
初めはそこまで心配しませんでしたが、日に日にひどくなりとても目立つようになりました。これで劇遊びのセリフは大丈夫だろうかと心配になりました。
吃音の原因は何か気になりましたが、息子の場合環境の変化に弱いことは知っていたので、生活発表会が終わるまでしばらく様子を見守ることにしました。
『桃太郎』には桃太郎、犬、猿、雉、鬼、おじいさん、おばあさんが登場しますが、息子は早い段階で「ボクはキジになりたい!」と宣言していました。なんでキジ!?と驚きました。息子曰く、「鬼は怖いし、キジのお顔はかっこいい!犬や猿は見たことあるし...」という考えのようです。illust_1703_03.gifせっかくやりたい役があるんだったら、頑張ってやってもらいたいと思いましたが、結局割り振られた息子の役は"サル"でした。「ボクはキジがしたいのに、サルやねん...」とお風呂の中でしょんぼり告白してきました。人生はそんなにうまくいかないことを早々に知ったようです。息子を元気づけようと、桃太郎の歌を思い出しながら歌ってみました。
「♪むっかし~、むっかし~う~らしまは~...」。あれ?これって浦島太郎。はて、桃太郎の歌ってなんだったっけ?
とんちんかんな母を尻目に、息子は歌が大好きなので、その歌を覚えようと一緒に浦島太郎の歌を真似してうたい始めました。
他にしたい役があっても、与えられた役をしっかり演じてほしいと思うのですが、それを言葉にして伝えると、繊細で真面目で大胆な息子にはプレッシャーかなと思い、何も言いませんでした。

発表会の当日、おばあちゃんも孫の姿を見に来ました。もしかすると息子は何もせずに終わるかもしれないと事前に伝えました。もしかすると泣くかも!?
するとわたしの母は、「まぁ、あんたの子どもやったらそうなるかもね。そういう自分は窓ガラスにへばりついて大声で泣いたり、何度か幼稚園を脱走したりしてたよ。」と教えてくれました。
夫はわたしの顔をみて、「遺伝か...」とつぶやきました。
ほほほ...そうなのねぇ(汗)。自分も通ってきた道ならば、そこまで心配することもないのかな。

いよいよ息子の出番がやってきました。今回は真ん中あたりの壁際でひっそりと見ることにしました。息子が幕からでてくると、客席に向かって「ママとパパ~!!ここだよ~。」と手を振ってアピールをしています。その声につられて他の子たちも親を探し手を振りました。先生は、「そうやね、一回大きく手を振っておこうか!」と臨機応変に対応してくれました。満足した息子は、歌ったり、どもらずセリフを言ったり始終笑顔で音楽に合わせて体を動かし、最後まで役を演じきっていました。

なんということでしょう!
一年でこんなに成長していたなんてっ!!!ホロリと涙がでそうになる瞬間、客席にいた息子のお友達のママが目に入りました。もう先に泣いています。心配だったのは私だけではなく、皆そうだったのかな。illust_1703_04.gif演技が終わった息子を迎えに行くと、すごいテンションの上がりようでした。そしてそのまま何人かの男の子の塊とともに園庭をきゃっきゃと走り回って、子犬のようにじゃれあっていました。
何週も走り回ったあとに、それぞれの家へ帰っていきました。そのあとで「ま、ママ!今日の保育園はすごく、た、たのしかったよ!ほんとにっ!!」と笑顔をみせてくれました。
その笑顔をみると、わたしのあれこれ小さな心配事はすっと心から消えていきました。

そして、帰り道息子と手をつないで桃太郎の歌をうたって帰りました。
「♪も~もたろさん、ももたろさん、お腰につけたきびだんご~、ひとつわたしに下さいな。」
息子の声は住宅街に響き渡るほど、自信に満ち溢れていましたが、ちょっと近所迷惑なんじゃ...ときょろきょろまわりを見渡すわたしの心配事は尽きることがないようです。


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